羽根(はね)別フォーマル – Trading Post 良い革靴が見つかるセレクトショップ

大阪店

羽根(はね)別フォーマル

皆様こんにちは。TP36年の歴史とほぼ同じく歩んで参りました、年長者である私 野勢の四方山話の第四回目となります。

御拝聴どうぞ宜しくお願い致します。

今回は2種類の代表的フォーマルシューズのお話です。

 

フォーマル(Formal)とは英和辞典によると…

  1. 型にはまった, 因襲的な;型どおりの
  2.  ((限定))正式の, 公式の, 本式の;正式の手続きを経た
  3. 〈人・態度が〉しきたりを守る, 折り目正しい, きちんとした,儀礼的な, 格式ばった;〈人・物が〉あまりにも儀礼的な, 堅苦しい
  4. おざなりの, 単に形式だけの, 形だけの, 名ばかりの(nominal)

とあります。

 

TPで働きはじめた頃、内羽根式(ウチバネシキ)の黒のストレートチップ、外羽根式(ソトバネシキ)のプレーントウが代表的なフォーマルシューズと教えられました。

遥か昔、革靴初心者から革靴フリークになったような私には、靴は色やデザインを気に入って買うもので、その時は興味も必要性もないそれらの靴は何時か買えばいいと後回しにしていました。

ここからは内羽根と外羽根の違いについての説明となります。

まずは靴ひもを通す穴の部分の革を羽根と呼びます。

向かって左が内羽根/右が外羽根。

羽根部分が靴の甲革(アッパー)の内側に入りこんで縫われていて、完全に開かないのが内羽根式となります。

内羽根式の靴は履き口が必要以上に開く事もなく上品な印象があります。

 

英国王室、貴族階級に好まれて履かれていて、ルーツは英アルバート公と言われています。

内羽根式の靴を履いてスコットランドの別荘、バルモラル城でリゾートを楽しんでいた事から内羽根式の形状を「バルモラル」とも呼ぶようになっています。

リゾートで履かれていたものが現在ではフォーマルの代表となっているのも面白いところです。

対して、羽根部分が靴の甲革(アッパー)の外側に取り付けられて、全開するのが外羽根式となります。

外羽根式は足入れが素早く機能的であり軍靴の為に作られたもので、誕生以来、作業用カジュアルテイストな靴に使用されています

 

外羽根式は考案された方の名前をとり、「ブルーチャー」などと呼びます。

19世紀初めにドイツの靴職人、ブルーチャーという方によって考案された軍靴。

プロシャ軍のブリュッヘル(英語読みでブルーチャー)将軍によって考えられた軍靴との2説があります。

当初の趣とは変わって、現在のファッションに取り入れられている靴ですね。

羽根部分を英語で表すと(レースステイ)となります。

羽根という単語は翻訳では無く、純正な日本語になりますね。

外羽根式が180°開く様に羽根を思い起こしたからでしょう。

又イギリスをはじめヨーロッパ諸国では、外羽根式靴を「ダービーシューズ」とも呼びます。

羽根が180°開く様子から、競馬のゲートを連想されたと思われます。


Crockett & Jones 品番:20106A-C01L1 モデル名:CONNAUGHT 2


  • 素材:Aniline Calf
  • 色:Black
  • 底材:Single Leather
  • 製法:Goodyear
  • ウィズ:E
  • 価格:¥90,200(税込)

 

 

英国らしい伝統的ラウンドトゥを継承したラスト379

フォルム自体丸みのある柔らかな印象ですが、クラッシックテイストにありがちなフィッティングの甘さを解消。

ふまずの絞り込みから踵のホールド感は格段に向上しています。


Crockett & Jones 品番:20161A-C01L1 モデル名:Wimborne 2


  • 素材:Aniline Calf
  • 色:Black
  • 底材:Single Leather
  • 製法:Goodyear
  • ウィズ:E
  • 価格:¥90,200(税込)

シンプルな作りなので、ラストの良し悪しが完成度を左右しますね。

カジュアルよりである外羽根式も、スリーアイレットのシンプルな作りによって内羽根式に迫るドレッシーさで、優劣つけがたいです。

ふまずの絞り込みがほど良く足を包み込みCrockett & Jonesの履きやすさの基盤となる柔らかさを損なう事もありません。

近年、Crockett & Jonesが往年モデルの雰囲気を壊さず新ラストに載せ替えての商品展開が良くありますが、弱点であったフィッティングの甘さの改善につながっています

同じ木型でもデザインの違いからくる印象の違いを皆様はどう感じられますか?

間違いやすい考えとして、革靴=フォーマルという図式があります。

自分自身の幼少期にもスニーカーよりましだろうと、冠婚葬祭に黒のローファーを履かされていた記憶があります。

革靴は色々な誕生のきっかけと、そのあとの発達の歴史がその靴の役割と性格を確立しています。

さまざまの用途・目的から生まれた靴をファッションにとりいれている今、革靴という一括りには到底できません。

 

フォーマルシューズを必要と思う時は自然と訪れるものです。

年齢を重ねるに従い人とのつき合いも多くなり、様々な機会も増え、節目には必要となる上質な靴が欲しくなるものです。

相手にどう見えるかということはもちろん大事ですが、こだわりや革の良さを兼ね備えた良い靴を履くことにより、落ち着きや安心が得られそれが自らの自信へと繋がります。

 

 私が思うにファッションでいうフォーマルとは、いつ誰が決めたわけではなく、その場の相手を敬う気持ちを表す靴及び装いであり、先人達の思いや知恵が長く伝えられて形になったものと言えるのかもしれませんね。

 

トレーディングポストでは今回ご紹介したクロケット&ジョーンズ以外にも数多くのブランドをセレクトしており、それぞれのブランドにおいてご紹介した2種類以外にも様々なフォーマル使いができる靴をご用意しております。

フォーマルシューズを手に入れたくなったら店頭で是非スタッフにご相談ください。

 

それでは、皆さまの「ご来店」「お問い合わせ」お待ちしております。

 

 

【前回・三回目】

パイピング


 

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